厚生連通信

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〈今月の健康〉「認知症」の方が、気兼ねなく暮らせる地域づくり [健康バンザイ]

2018年01月29日

「認知症」とは、正確な意味での病名ではなく、記憶や見当識、理解や判断力、実行機能の障害をともなう疾患群の総称です。認知症はきわめてゆっくりと進行して、症状が出た頃には脳の神経細胞の脱落はかなり進んでいます。現在のところ、認知症の原因は不明で、治療法も予防法もありません。

そのため、認知症の治療薬は、症状の進行を緩やかにできるだけなのです。ただし、今まで普通に生活をしていた方が急にボケたり、はじめから歩行障害や失禁をともなう場合、発熱やむくみなどの内科的症状がある時は、すぐに診察を受ける必要があります。それは、「脳腫瘍」や「せん妄(もう)」などの症状が認知症に似ていて、別の疾患である可能性があるからです。

多くの方は、「認知症」という言葉に、自分で自分を制御できないことや、介護で家族に迷惑がかかることを想像します。しかし、赤ちゃんや障害者が、独りでの生活が困難なために周りの援助を必要とするのと同様に、認知症の方も障害者であることに変わりありません。実際に、物忘れがひどくなって何度も同じ事を尋ねたり、多少の計算ができなくても、家族や周りの人間の少しの見守りさえあれば、家庭で日常生活を送ることができる方は、たくさんいます。

やたら不安にあおられて、認知症の保険や効果の確証がされていない予防法に振り回されるよりも、認知症という障害を抱えた方とご家族が、どのような援助を必要としているのかを、第一に考えるべきです。そして、認知症に対する偏見がなく、認知症になっても気兼ねなく暮らせる地域をつくることが何よりも重要ではないでしょうか。

JA長野厚生連富士見高原医療福祉センター
富士見高原病院 神経内科 井上 憲昭(いのうえ かずあき)

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