厚生連通信

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〈今月の健康〉「食中毒」 [健康バンザイ]

2017年08月22日

食中毒とは、摂食等によって有害物質が体内に入ることにより引き起こされる疾病です。原因としては細菌やウィルスなどの病原微生物が最も多いですが、薬などの化学物質や自然毒などでもおこります。一般的には、同じ食品を食べた人が複数で集団発生した時に食中毒と言います。ノロウイルスなどでは食事性に発症する時と、風邪症候群のように接触・飛沫感染する時もあり、この時は感染性胃腸炎と言っています。食中毒の原因菌としては、少し前まではサルモネラやビブリオが多かったですが、最近ではノロウイルスとカンピロバクターが増えてきています。ただし、届け出のない食中毒が非常に多くあり、実際には数百万人が感染していると推測されています。

食中毒の症状は、腹痛、下痢、悪心・嘔吐、発熱が主であり、下痢の頻度が高く時には下血、粘血便など来すこともあり、原因菌や炎症の主だった部位(小腸型、大腸型)や重症度により異なってきます。ほとんどは急性胃腸炎症状ですが重症化してくると循環器症状や、呼吸器症状、意識障害等の全身症候がみられるようになってきます。

診断に際しては問診が非常に重要です。いつ、どこで、何を、どのように食したのか、また一人だけなのか多人数か、周囲の人の症状はないかなど。潜伏期の長い菌種もあり少し前にさかのぼって具体的に聞くことが重要です。問診と症状、および臨床所見で診断の見当は付きますが、血液検査、下部消化管内視鏡、腹部CT等の検査などを用いることでより確かな診断を確定できます。

軽い病態では自然治癒傾向が強く、水分補給と症状の緩和で対処し、腸管内の排泄を計ります。下痢止めは使用しません。中~重症の場合には全身管理と共に抗菌剤投与をしますが、薬剤によって効果が異なりますので、投与前に便培養を施行し原因菌のわかった時点で変更または中止します。

食あたりの多い季節になってきましたが、手洗いをしっかりとして怪しいものには手を出さない。冷蔵庫に入れているからなどといった油断は禁物です。子供さん、高齢者、基礎疾患のある人等々、免疫力の弱い人は特に周りの人達の見守りが大事です。また、食中毒の発症を疑う時は周りにうつさない注意も大切です。

自分の身体は自分で守り、この時期を元気で乗り切りましょう。

JA長野厚生連北アルプス医療センターあづみ病院 消化器内科部長 木全 博己(きまた ひろき)

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