厚生連通信

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〈今月の健康〉脳神経外科「脳腫瘍に対する新しい治療について」 [健康バンザイ]

2017年05月30日

脳腫瘍のうち、悪性脳腫瘍は大部分が脳の中に発生し、神経膠腫(しんけいこうしゅ)(グリオーマ)と呼ばれます。脳腫瘍の中で最も多いもので、脳組織の間に広く侵入し、腫瘍の範囲は不明瞭なことがほとんどです。

一番悪性度が高いものは膠芽腫(こうがしゅ)といい、手術で全部摘出することは一般的に不可能です。抗腫瘍剤の使用や放射線治療なども行いますが、やはり手術治療が中心です。

手術で周辺組織を一緒に切除すると重大な障害を生じますので、できるだけ腫瘍を縮小させるような手術が大切です。また、術後の治療も大変重要になります。

手術で残った腫瘍に対する最新の治療の一つに『光線(こうせん)力学(りきがく)的治療』があります。手術前に光感受性物質を腫瘍に取り込ませ、摘出手術の最後にレーザー光を照射し周辺の残存した腫瘍細胞を死滅させる治療です。専用のレーザー照射装置と脳腫瘍に対する専門的手技が必要な治療法ですが、長野松代総合病院では平成29年4月のレーザー装置導入により、この治療を行うことができるようになりました。長野県及び近県では初めてであり、全国でも15病院のみです。

光線力学的治療の効果は良好で、グリオーマ患者の生命予後を延長する治療法として、大いに期待されています。光感受性物質を使用しますので手術前後の日光照射などに対する注意点はありますが、比較的安全に行えます。治療後も抗腫瘍薬治療や放射線治療を行うことが可能ですので、従来の治療に追加して行っていきます。

この治療は、今後グリオーマ治療には欠かせないものとなることが予想されます。グリオーマ治療を行う上で大切なことはできるだけ手術で摘出することですが、今回の導入により、長野県でも最先端の装置と最先端の技術を用いた手術が受けられるようになりました。

JA長野厚生連長野松代総合病院 副統括院長/脳神経外科統括部長 中村 裕一(なかむら ゆういち)

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